名作って言われてる映画を観た
私は去年あたりからAmazonプライムに加入しているのだが、映画を全然観てないのでなにか観ようと思った日曜日。
と言うわけでスタンド・バイ・ミーを観ました。
この曲は人生で1度ぐらいは聴いたことあるぐらい有名ですよね。私も大好きな曲の1つなのだが、恥ずかしながら映画は全く観た事がなかった。なんならあらすじすら知らなかった。
そんな私(25)がスタンド・バイ・ミーを観た率直な感想です。
物語は1人の男性の回想から始まる。
《僕が死体を初めて見たのは、12歳の時だった…───》
ま、ま、待ってーーー??!?!!
死体?!どうした、えっ死体?!12歳で死体見たの???どんな世界線???バトロワの中生きて来たの???
と思ってしまったが、舞台は1959年のアメリカ。それも田舎のアメリカ。
日本で言えば昭和34年。今の60歳ぐらいの人達が産声を上げたばかりの世界で生きている12歳の少年たちの話だ。
そりゃあ感覚も違う。そもそもアメリカだし。舞台もめちゃくちゃ治安の悪い町だし。
って自分に言い聞かせてたら、話は男性の12歳の記憶へと戻る。
って思ったらツリーハウス出てきたー!えー!この時にはもうアメリカでは鉄板だったの?!うわー!ツリーハウスじゃん!!!秘密基地だ!!!めちゃくちゃ憧れてた!なんなら今でも憧れてる!!!
ノックもちょっと違って、多分みんなで決めたんだろうね~~~楽しそ~~~わかる楽しい。
そして、そこでポーカーを楽しむ12歳の少年たち。口元には煙草を吸いながら。
えっ。
正直このシーンは何よりショッキングだった。既に未成年の喫煙は規制された社会で生きている私にとって、実写で、しかも名作って言われてる映画で!少年の喫煙シーンがこんなにドンと出るとは!
驚きとショックで脳がびっくりした。
そりゃあ高校生ぐらいの子達が喫煙してたらまぁね~~~と思わなくもないよ。正直見た目は大人と大した差はないしね。
でも見た目も正真正銘子供がこんなバンバン煙草吸うの見る事なんて多分もう一生ないよ…。
驚きだった。自分たちでは煙草は買ってなかった(さすがに買えなかったのだろう。お金が無いと言うのも理由の一つだろうが。)が、親のをパクってくるあたり手口が慣れてる。
でも、拳銃パクってきた時の「えっ拳銃ヤバ…マジ?」って感じは、良かった…拳銃はそんなに身近じゃなかった…これで撃ったことあったらもうダメかと思ったよ…!
仲間のひとりは最初の方に《こいつは父親に耳を焼かれそうになった》とか言ってるし、もう意味わかんないよ。焼かれそうになったって言ってるけど、それ焼かれてない?大丈夫?焼かれたんじゃね???(確認したら焼かれてました。)
序盤で既に語り部の少年以外の家庭環境が最悪だと言うことが分かる。
ひぇっ児童相談所、いや警察きてくれ…!
しかも語り部の少年の家庭環境もなかなかで。
兄が4ヶ月前に交通事故で死んだって言うじゃありませんか。両親はそのショックから立ち直れて居ないと。少年は《もう4ヶ月も経っているのに両親は立ち直れていなかった》と言っているけど、少年もまだ兄の死と上手くお別れ出来てなかったんだね。
まあショックなのも分かるけど、お母さんガン無視なのヤバくない?やば…って思ってたら、回想の家族の食事中のシーンで、お兄ちゃんが家族の間を取り持っていたことが何となくわかる。
そのシーンで、カチンと来たのはお母さんが《あの子(兄の彼女?かな?)はとってもいい子だから、》と嬉しそうに話すと《女の話はするな!今はそんな事にうつつを抜かしている場合じゃないんだ!》とお父さんがグチグチお母さんに言うシーン。
いやいやいやもう、お前なんなの?男ってだけでそんなに偉いの?なんなの?何様なの?確かにこのお母さん面倒臭い女っぽいけどそんなに言うことなくない?と思ってしまう。でも時代は1959年。女性の社会的地位が高くない時代。しかも田舎。
最悪と言う言葉しか出ない。
この映画、基本最悪って思うことが多かったな。と今更ながら思う。
これは時代の変化によって起こることなので、むしろそう思えて幸せだし、正解だと思う。
だからと言って映画がダメな訳では無い。むしろこの時代の社会を見れる良い機会だと思う。これは教材の一種で、今観て良かったとも思った。
あと、これもショックと言うかもうやめろや!手前ら全員しょっぴくぞ!って思ったのは、不良グループたち。多分高校生ぐらいかな?飲酒運転だろお前らって思うところと、逆走してんのにトラック来ても動かない感じのやつ。マジでお前たちなんなの?郵便受け全部直せや…いい加減にしろや…
なにより12歳の子にナイフむけんな。
腕に直接なんか彫ってるやつめちゃくちゃ痛そうだし、もうやめろ…!(限界)
面倒になってきたからここからは4人の少年達の印象を語ろうと思う。
まず、語り部のゴードン。
彼は兄の死をきっかけに両親から浴びせられる《兄より劣った自分》のレッテルに苦しんでいた。こればかりはゴードンが悪いとかではなく、完全に両親が悪いな。と。両親に期待されていた兄と両親から劣っていると思われている自分を比べて苦しんでいるゴードンに何度大丈夫、そんなことない。と言いたかったか。まあ全部クリスが言ってくれたけどな!本当に良い親友関係だと思う。ゴードンはクリスが居たから《兄じゃなくて自分が死ねばよかった》と言う呪縛を言うことが出来たし、信じている人が居たから物書きにだってなれたのだと私は思う。自分を信じてくれる存在って、めちゃくちゃ大切よね。
この4人の中でリーダー的存在クリス。
最初こいつマジで煙草バンバン吸ってるし、給食代盗むし、絶対暴君だと思っていたけどこの4人の中では1番に大人。冷静。子供っぽいところはありながらも自分が今どんな立場に居るか1番に分かってる子だった。だから親友のことも想って《俺たちみたいな奴らとつるんじゃダメだ》とも言うし、本当に信じているから《お前は立派な物書きなる。お前の親父が信じなくても俺は信じる》って言ってくれるしめちゃくちゃ重みがある。クリス、お前は賢くて優しい子だよ。だから、一見一緒にいるのが謎なゴードンとクリスだけど、彼らが親友だと言うのは納得出来る。そんなクリスがゴードンの前だけで泣くシーン。本当は給食代を盗んだけど、正直に先生に持って行ったクリス。でもその給食代はそのまま先生が着服してしまった。涙するクリス。怒りが込上げる私。この作品大人がクズ。クズの中でもがいて生きていこうとする少年たちに胸が痛い。すまん、大人がしっかりしていれば…!
こいつこそ複雑すぎる家庭環境テディ。
《あいつ頭イカれてる》って何回言われてた?ってぐらい凄かった。耳焼かれても父親を尊敬し、愛しているテディは、父親を悪く言われるとカッとなる。このタイプは早死するなと言うのが正直な感想。度胸試しもしたがるし、結構破天荒。何も考えずにワッと行動してしまうタイプ。でもちゃんと空気も読める場面もある。ゴードンが落ち込んだ時にはクリスに言われたと通りその場を離れるし、謝ることだってできる。カッとなって暴れちゃうけど、冷静になるとしゅんとするの可愛いし、子供の頃からこの感情のコントロールに力を入れてやればちゃんと長生きできるよなぁと思っちゃう。すぐ危険なことをしちゃうので、野犬が鳴いてても幽霊だ!見に行ってやる!って行っちゃう。クリスがいて良かったね。本当に。
1人はいるよねー!ノロマな奴!なバーン。
話はこいつが発端で始まるんだが、結構保守的。みんなに着いていくよ〜タイプかと思えば、テディに殴りかかれるから、良くも悪くもこの4人は対等だなぁって感じる。列車のシーンはマジでお前早く走れ!行け!行けー!!!ってなったよね。とろとろ歩くな!走れよ!ってなる。多分みんななったよね。コケて立ち上がらない時はつい、内なる修造が出てしまったよ。最後の一目散に逃げるのもバーンなんだけど、まあそこは期待を裏切らないよね。うん。最後のバーンの《またね》から皆が別れていくのが良い。そうだね、またね。だね。
この作品ってどんなタイミングで観るのが1番なんだろう。と考えた時、私は小学生に1度見て、少し大きくなってからまた観て、そして社会に出てからまた観るのが1番の楽しみ方かもなぁ。と思ったけど、どうなんだろう。
見終わったあとはずっと、クリスとゴードンの友情に思いを馳せてたし、EDでは何故か泣けちゃった。お前それはクリスのことじゃんっ!って。
私が同人女だったら同人誌は余裕で作っているレベルで、彼らの友情にときめきを感じた…。
でも、少し経って、そう言えば似たような話を私は小学生の時に読んだなと思い出した。
恐らく、小学生の時にスタンド・バイ・ミーを観たらあんなワクワク感が味わえたのかもしれない。
違う作品で味わったワクワク感で、疑似体験をした気分でなんだか少し嬉しい気持ちと、既に私はこの作品を観てもワクワクできなくなってしまったことに寂しさも覚えた。
最後にゴードンは言う《12歳の頃のような友情はもう二度とできることはない》と。
ただただその通りで。
あの頃は戻らないし、戻れない。
狭い世界で生きてきた自分が、自分の足で歩んだ線路の先に見えたものは私にはもう感じることは出来ない。
やっぱりどんなものでも年齢によって感じるものは違ってくる。その善し悪しは人によるが、知らないより知っている方がいいので、私はやはり観て良かったのかもな。と思う。
そして曲を聴いて、ちょっぴり泣く。
いつの間にか大人になってしまった自分の肩を叩きながら、戻れない日々を想う。
でもやっぱり、子供目線の作品は子供に戻って感じた方がいいよな~~~!!!
あーーーーあ!大人取り外したい!
【結論感想】
子供の喫煙シーンは何か胸に来るものがあるし、思ったよりショックがデカい。